『 王なき魔界に禁忌の血が目覚める 』
かつて魔界を統べた “ 虚王エレディア ” は、自らの心臓を喰らい、玉座ごと姿を消した。
恐怖と暴力だけが支配していた均衡は、虚王の死と共に音を立てて崩れ去る。
空は裂け、大地は腐り、死者さえも眠れぬ谷が生まれた。
残されたのは、血を求め合う四つの軍閥 ― 魔界四傑 ―。
再び玉座を狙い、過去を喰らいながら、魔界を地獄へと沈めていく。
そんな混沌の中で、“ 異物 ” が産声を上げた。
魔界に生まれながら、魔族の紋章 " シジル " を持たぬ者。
それは “ ムート ” と呼ばれ、魔界にとって忌むべき存在であった。
だが誰も知らない。
そのムートの額の奥に、決して宿るはずのない “ 王の印 ” が息づいていることを。
そしてそれは、世界そのものを問い直す火種となる。
希望か、災厄か。
それすら定まらぬまま、王なき魔界に、再び “ 魔王 ” が生まれようとしている。

